経済を考える9

これからの課題は、資本主義後の世界の考察です。 ケネーが農本主義時代を、マルクスが農本時代の不生産階級の成長による資本主義時代の萌芽時期を、見事に表式で示しました。 2人の素晴らしさに脱帽です。頭もいいね、マルクスはインテリにバカにされないよ…

経済を考える8-10

剰余価値学説批判として まとめ GーW 、貨幣資本を生産資本に転換するにあたり、 等価交換で、原料Pmと原料を新たな有用物に変える労働力Aとに交換して生産活動に入り新有用物としてG貨幣資本に戻す。 ここで、の生産経費は、原料代と労賃である。この労賃が…

経済を考える8-9

8-7を補足する。 当時はイギリスの資本主義は萌芽の時代で、マルクスの分析通り、石炭エネルギーによる蒸気機関を利用した機械生産を導入しながらも、機械の剰余生産効果は低く、それでも生産力は職人不生産階級のそれと比べて圧倒的であっただろう。機械に…

経済を考える8-8

剰余価値は、労働に代替する機械化の発展により生み出される、とすると、GーW の貨幣資本の生産資本への転化で、その組成段階で予定剰余価値が計画され、P生産の実行でW内で生産後の商品の形で生産されるから、Gの成果でしかない。労働者階級が握るべきは、G…

経済を考える8-7

さて、GーW 変換を深掘りする。等価交換である。 G貨幣資本ーW生産資本への変換と生産活動Pまでの製造業工程を細かく見てみよう。 マルクスは、貨幣資本としてのGをWの不変資本Pmと可変資本Aとの生産資本に等価で変換してP生産活動を行う。 製造業は、ある材…

経済を考える8-6

ケネーの範式の時代は、不生産階級の労賃は職人労働の再生産で、その為には主婦も子供も養える賃金はあるわけだ。 これが、工場生産に移行して労働が児童や女性による単価の低い労働に機械化で移行すると、剰余価値が生産される。その意味ではマルクスの生産…

経済を考える8-5

ちょっとお休みして、ぶつくさ独り言。(^^) 不生産階級による職人作業の機械化へ置き換えによるコスト削減を通じて、剰余を得て、その剰余で一方では機械化の高度化の為の機械生産へ、もう一方では、W-Gに要する商業経費増を通じて、職人生産物価格により近…

経済を考える8-4

W-W'変換を深める。 目的は、資本主義システムの普遍的な表式を作ることである。偉大なマルクス表式の批判者ではなく、後継の一人でありたいから。 貨幣資本Gを商品Wに等価交換して生産資本を編成して、剰余価値を含んでアウトプットを等価交換で貨幣資本G…

経済を考える8-3

WーW'変換を考察する。 貨幣資本Gは、生産資本Wに変換して商品資本W'にして、G'にする。 しかし、WーW'で価値が増殖するのだろうか? GとW、G'と、W'とはマルクスは等価交換しているから WとW'の間で価値が増殖していないと辻褄は合わない。が、サービス業…

経済を考える8-2

ロビンソンクルーソーの魚とりは、道具の高度化による生産性向上、即ち需要分の魚が取れる時間の短縮により彼の自由時間が拡大される。 彼の資源は個人的労働力のみなので労働時間減少が資本増加を促すからわかりやすい。 自由時間に道具を高度化するのに消…

経済を考える8

いよいよ、本題?にせまりたい。 マルクス資本論の主要命題 (記号の定義は後述) GーW(Pm+A)…p…W'ーG' 即ち、GーWーG' 説に対置して 名付けてGーW-G仮説を8シリーズでは検討してみたい。 労働者は、労働力商品Wを賃金G貨幣と交換して、生産活動に参加し、…

経済を考える7

6-9はまだ未完成で自信も少しない。税収増が不生産階級を育て科学技術も発展しそうである。100%ではないが、税金も役立ち、農業基盤整備など生産階級への依存は小さくなっていかざるを得ないようだ が、先に行く。 不生産階級の利益がどう拡大して資本蓄積…

経済を考える6-9

ケネーの経済表範式に感激したマルクスが、資本論で再生産表式の理論に発展させたプロセスの再現になるかもですが。 範式の生産階級が、原前払100が生産資本として存在し、10年で償却するから、年前払には10が消費される。 別に20の年前払は、実は大きくは労…

経済を考える6-7

原前払い、年前払い、資本について考えよう。 ロビンソンクルーソーは、食糧の魚をとるのに泳いで、木を削ったモリでとっていたが、熟練して最低限の確保ができ、時間の余裕ができたので、網を使ったり船を作ったりしてより短時間で同量以上の魚をとることが…

経済を考える6-8

今回は話の流れを外して、利益率の問題に踏み込んでみたい。 生産階級の利益率が高く、利益すなわち余剰生産物ができたことが、生産階級と呼ばれる所以である。 農業を主として、漁業、林業、鉱業なども範疇にふくまれるはずだ。 生産に必要な労働力の再生産…

経済を考える6-6

6-5で、イギリスの地政学的優位性とユダヤ人の流入が、近代資本主義の爆発的発展をもたらしたとは考えているが、話の組み立てがやや乱暴なので、その前段階を丁寧に深めたい。 自然な流れとしての、農本社会に内包する要素の中からの成長による小規模な資本…

経済を考える6-5

ケネーの範式の不生産階級の成長の考察が、資本主義化への洞察を生み、資本主義発展後の社会を模索する上でも手法は同じ気がする。 不生産階級の質と量の拡大の前に、農本社会の価値観を考えよう。それは余剰生産物を増やしたい支配階級の思いであり、安定し…

経済を考える6-4

ケネーの範式で思うことは、見事な封建主義循環システムを表現していると同時に、この時代の不生産階級である商工業者の位置が、支配階級の為の服の仕立てや豪奢な家具や美術品、庭師や建築物作り、装飾品作り等宮廷でのお抱えの召使いとしての機能と、もう…

経済を考える6-3

ケネーの経済表範式を考察する。 当時のフランスの経済構造を、3階級と5本の線という簡潔さでモデル化し、循環構造を見事に示した。 80%が農民で食糧生産力が高かった300年前のフランス、王朝は栄華を極めていた。宮廷の専属医ケネーは時の政権の重金的な輸…

経済を考える6-2

ロビンソンクルーソーからケネーの封建主義的農本主義時代を経て、産業化した工業化時代の検討に移行しよう。この場合は、ロビンソンクルーソーの個人としての労働力配分の考え方も参考にしつつ、フランスを代表とするケネーの階級区分と歴史性を前提として…

経済を考える6-1

さて、経済を考える上で、改めてロビンソンクルーソーを考えよう。 初めに身の回りにあるものを使って、まず魚や貝を取り、島内の果物や食べられる野菜を集めただろう。エネルギー支出分を超えるエネルギー補充食糧を労働で確保したら、需要ははじめて次の段…

経済を考える6

村の定期市では、生産工場製品の交換ではなく、零細?個人事業主間の余剰生産物の交換経済を想定しているが、村から国レベルの膨大な生産物の交換市場には、資本家の労働者雇用を伴う工場生産品の販売による交換が行われ、その利潤を巡って階級的な分配問題…

経済を考える5-2

村の定期市で、商品W-G-Wの交換をなす為の貨幣Gの導入について、市場構成員による市場外の銀行機能からの借入による方法を5で想定した。 一方で村の定期市でも、権力から自由ではなく、丁度フリーマーケットの所場代のような、交換とは別の支出を必須として…

経済を考える5

村の定期市では、W→G→W、即ち、商品→貨幣→商品なる交換を通じて、商品が社会的に交換分配される。過剰生産物を市場で販売換金し、その金で他の必要な商品を買い消費する。これは、労働者、生活者即ち家計部門の行動パターンだ。 まず、第1の疑問は、村の定期…

経済を考える3ー1

物々交換は交換のちょっとした欲望の不一致で行き詰まりをもたらすが、誰もが交換を拒まない、「交換の媒介物」貨幣が存在すれば、取引主体間で交換が成立する可能性は格段に高くなる。 取引主体間での貨幣の受渡しを通じた、価格の実現と契約の履行について…

経済を考える3−2

ケインズの分類方法では、 国家貨幣の定義は、強制的法貨である 貨幣と、強制的法貨との交換が保証されている貨幣を加えたものを指す。 したがって強制的法貨である中央銀行券(例えば日銀券)だけでなく、それとの交換が保障されている中央銀行当座預金例えば…

経済を考える4

伝統的な純粋互換モデルで描かれる世界が、現実の資本主義経済からあまりにもかけ離れている事は、ミンスキー(H.Minsky)によって次のように指摘されている。 標準的な経済理論、新古典派総合、の構成は、村の定期市で行われるような、物々交換を検討すること…

経済を考える2

ロビンソンの個人的生活と異なる、集団を構成する社会では、分業生産物の交換が社会的にスムースに継続されなければ豊かな経済成長は社会全体としては得られない。交換が障害なく行われれば生産力、生産性向上も誘導され、社会経済は発展し社会が豊かになる。…

経済を考える1

ロビンソン・クルーソーのように無人島で1人で生活すると、生産活動に分業や協業がないことにより過剰生産物の交換の為の労働は必要ない。まして、交換の道具である貨幣も必要ない。交換による富の創出を前提とする為の生産性向上活動もない。生産性向上の成…

国家と経済4

ケネーを適用して、経済循環から国家と経済を考えてみたい。前回述べたように、支配階級と生産階級を考察してみる。 支配階級と言っても、現代日本は、王による専制的権力支配ではなく、国民の選挙により選ばれた代表により、政府が作られ、行政執行が行われ…