経済を考える6-9

ケネーの経済表範式に感激したマルクスが、資本論で再生産表式の理論に発展させたプロセスの再現になるかもですが。

範式の生産階級が、原前払100が生産資本として存在し、10年で償却するから、年前払には10が消費される。

別に20の年前払は、実は大きくは労働力を提供する農民の生活費と種子や年間に必要な消耗資材費、要は人件費と物件費にあたる。

資本は合計で30を消費するが、100も資本である。

 年度当初は、100の資産と20の費用を投じて、90の資産と50の生産物を得るが、20の翌年度の費用を取り置き、消耗した資産10を補填することで100の資産に戻して、20が純生産として残り、これを支配階級に納税するパターン。ケネーのメモには、一瞬の切断面だけでなく、経過もあったはず。

 

仮に、減税を嘆願し、支配階級に20の税を15にまけてもらえたとすると、支配階級は食糧を10のままにして、5を不生産階級からの消費財買取で我慢することになり、不生産階級は5の受注しかなく、これでは食糧不足となるため、生産階級から10の受注ではなく15の受注を受けて食料費5、仕入れ原料費10をまかなうことになる。今までは不生産階級の他階級への受注依存度は50%ずつ、だったのが支配階級25%、生産階級75%と変化する。もし、100%生産階級依存なら生産階級に組み入れられ、不生産階級は存在意義を失う。

生産階級の15の余剰部分は、拡大再生産の為の原前払即ち固定資産に補充10に5の追加が行われるか、年前払に5を投じるか、その組み合わせか、何れにせよ5は、借地農経営者により資源配分される資本増加となる。借地農経営者が内部留保して現金にしてタンス貯蓄にすれば、支配階級が細るだけになる。

105の原前払、固定資産の増加5となって翌年の生産に寄与する資本増加をやるのが一般的で、道具の拡大にあたるのが普通のはずだ。

支配階級の最終消費で消えるのは食費の10だが、いつもは、20のうちの残りの10は、不生産階級の食費というか食糧生活維持費の元手となり、不生産階級を維持することに貢献し、生産階級の10の原前払の財生産に寄与できるから意味がある。

もし、支配階級が10の食費だけで済むなら、不生産階級は年前払10で、10の原料を仕入れ、20の製造加工ができ、生産階級から20の生産物を受け取り、食費に10、翌年の前払に10を保管できて維持される。

これは既に生産階級の下請けであり、不生産階級は消滅し生産階級のみとなる。

 

現実はこの想定とは逆である。人のいい支配階級は、もともと収奪と最終消費がこの階級の存在意義であるから存在しない。増産分は慢性的な食糧不足にでもならない限り、20が、30になれば、不生産階級を増やして豪奢な暮らしを楽しむか、=最終消費、軍や徴税人を増やす。従って、不生産階級は年前払の確保から、徐々に原前払も確保できることで近代的工場経営ができる固定資産を前提とした生産階級に発展していくが、その利益の原資は支配階級からの受注による。農業生産は人の頭数を機械により置き換えながら、食糧生産は人口を超えた需要がないので、投資が細る。生産過剰となるから、輸出品に役立つ程度となる。一方で非食消費財需要に応える近代的工場生産は支配階級と拡大不生産階級の需要で広がるが、支配階級の食糧需要の相対的低下と同じく、加速した生産財生産の結果、早い時期に飽和する。消費財生産財の関係はマルクスの再生産表式を参照すればよいが、この無政府的な生産競争が、過剰生産財生産にブレーキをかけて恐慌が起こり、壊れてまた立ち直る10年周期の恐慌を繰り返したが、これを救ったのが戦争による需要増作りだったわけだ。

余談だが、今の日本は将来人口減予測から、国内投資を抑えて国外投資による投資収益が得られている為、政府による最終需要を将来の返済を前提とした国債発行にたよって将来の返済を担保に国債増発しているが、その額は1000兆円程度で、国内生産もしており、国富が3300兆円ある。

内訳は非金融資産が2800兆円、金融資産が対外債権として250兆円あり、国富の3300兆円が非金融資産の再投資ができるから、国債はここまでは安全資産であることができるはずだ。発展途上国じゃないけど、投資資金が非金融資産である工場や生産施設がないところは、対外借入、又は投資資金を受け入れて低賃金労働で競争力つくり、国内需要が乏しいので輸出で稼ぎ更に低賃金で資本蓄積する、その場合もまず自前の工場作らにゃ!だ。

だが、今の状態の日本が続き、国内需要減が続き非生産資本が償却しきると、国債外資頼りとなる。

今の私の話が正しければ、3300兆円までプラス国の資産500兆円あるから、3800兆円を超える国債になると、外資が入り、債務不履行になると、IMF世界銀行が来て、緊縮財政が強要された上に国の資産であるインフラ、例えば高速道路や空港、鉄道や上下水道などが民営化放出され外資が担保にとる。料金は外資に流れ更に経済が厳しくなる、というのがこの間の経済破綻した国の先例である。韓国も一部当てはまっているが。取り敢えず日本の経済収支は20兆円の年間黒字だから、まだまだ先のことでしかないけど。