マルクス主義経済5
・4で不生産階級、即ち労働者階級が登場したが、不生産階級と支配階級内の官吏などの召使いとの違いは何だろう?
収奪余剰生産物の分配を支配階級に必要な労働と引き換えに受ける、ということに変わりはないが、支配階級内で常時雇用されれば、収奪税からの分配にありつけて安定するし、労働と賃金との等価性も必ずしも必要はない。現代の公務員に当たる。
一方で農民から放出され、支配階級の雇用も受けられないと、不生産階級という独立した階級に属する。この階級は、支配階級の税収と自らの労働とを交換する。
・農業生産が高まり、余剰生産物を容赦なく収奪すると、農奴人口の食は農奴家庭内では賄いきれなくなる。農奴は生産してるのだから余剰生産物も農奴の労働によるもので、余剰生産物があるので農奴人口増は支えられるはずなのだが、支配階級はそれを許さない。
溢れた農奴人口は、まずは安定した支配階級の召使いとなることで職を得ようとするが、必要定員を超えた人々は自由経済の元に放出される。
彼らは、支配階級からの請負仕事か生産階級からの請負仕事で食いつなぐしかない。
農業生産力が上がれば人口増加が支えられる。
分配が闘争を伴う以上は、増加人口を支える剰余生産物が、支配階級に全て収奪されるのであれば、農奴の家庭では人口増加分の食糧を支配階級の収奪剰余生産物に求めざるを得ないことで、不生産階級の増加、生産階級=農奴からの階級移動が進むのである。また、不生産階級増加により、生産階級の高度固定資産形成が進み、更に生産力が上がるという拡大再生産循環が進むのだ。
パン屋、大工、髪結い、鍛冶屋、薬屋、商人、などの町民たちであり、職人たちである。
この階層は、農業の生産性が高まるほど増加する。彼らは、支配階級の税収が増えるほど食いつなげるのだ。しかも、彼らは食糧やエネルギー等の生産以外の生産活動=によって、余剰生産物と引き換えに労働する労奴と言うべき存在である。労奴は支配階級に収奪された余剰生産物からの分け前と生産階級の固定資産減耗補充労働による余剰生産物の分け前を労働提供によって得るのだが、得られなかった人は、ルンペンになり、物乞いするしかなく人口増加は抑制される。
資本主義が登場するまでは、町民自営業者が前期の労働パターンと都市の市場経済で細々と維持され国体が形成されたのだ。
・この不生産階級の生産様式は、原料を労働で加工して、労賃と原料代を市場で商業的に回収する循環であり、固定資産形成は不可能であったが、生産階級=農業の借地農経営者により、固定資産形成が可能な資本主義システムが登場することで飛躍的に生産力が高まり、かつ剰余価値が生産されて、借地農経営者に変わり、資本家の元に富=剰余価値が偏在蓄積されることにより、支配階級の絶対主義性はその位置が資本家階級に移行分散され、国体も近代的な変容を遂げることになる。