価格形成と生産手段

・ここに、300円のかき氷が売られている。

また、10000円のかき氷用カンナも販売されていたとする。

このかき氷もカンナも、生産費用は、原料費+加工労賃、と考えられる。この生産費用が回収されることが生産活動を継続できる条件である。

加工労賃には、労賃だけでなく道具類の減耗費も加わっている。

更により正確には、+運搬費+商業経費、で販売価格が形成される。

 

市場取引は分業による労働時間の等価交換であると考えるなら、他人の世話にならずに全部を自分で労働してカンナをも製造することは可能である。

しかし、個人が全てにおいて専門技術を使えるわけではないので、分業での社会的平均労働時間を超える労働時間を個別に投入することにならざるを得ないので、しかしながら交換は、個人的労働支出ではなく社会的平均的労働時間で交換される為、分業による方がより少ない価格で目的生産物を得ることができると考えるのが普通だ。

 

さて生産活動で、原料Aを加工生産物Bにするには、加工労働が生産工程で発揮されなければならない。

 

原料 Aをかき氷の主要原料「氷塊」で考えると、天然氷をノコギリで切り出して運び保管する労働時間計により販売価格が得られる。保管と運搬は除外して考える。

ここでは、原料は、自然から得るのでこの天然氷を切り出す作業ではゼロ、原料は無い。

ノコギリの製造時間であるが、そのノコギリの製造に関わり原料である鉄鉱石原料の採取労働時間と柄となる木材加工の労働時間と加工組立の作業時間と鉄鉱石加工労働時間が必要な単位あたりで総和されるのだが、1本のノコギリの製造に要したその労働時間分のうち、減耗費分が氷塊切り出し労働に加算された分が氷塊の商品販売価格、即ち関与労働時間換算合計表示貨幣額となるのだ。

 

カンナ使用労働は、5杯/1時間の製造能力=fなので、8時間かかって40杯を生産できる。

f=5、=時間当たりの生産能力。f×8h=40杯

f=5×8、ならf×?=40 で、?=1h

ここで、仮にf=1なら、これは素手での労働を仮定する、=道具不使用労働、のだが、f×?=40

素手なら40労働時間必要だったはずだ、との理論計算になる。これがカンナとの結合労働で、8時間に短縮された、と考えてみる。

 

ここで、カンナを8倍性能のかき氷機に変えると、

f=40とすると、カンナ労働がパワーアップして、

f×?=40となるので、?=1h

 

カンナ生産は1日8時間労働で、原料単価90円とする

5×90×8+5×?×8+8000=300円売価×40杯

5×?×8=12000ー8000ー3600=400  ?=400/40=10

カンナは10000円の製造費で、1杯のかき氷製造で1/1000を減耗するとすると、10円の減耗費がかかる。

90+10+1000/5杯=300円

1杯300円で売れば8時間労賃の8000円が得られるわけだ。

カンナの減耗費は、製品1個あたりで10円だったことになる。これで8時間生産すると40杯で、減耗費計は400円となる。

 

これを、カンナからかき氷機にすると、

fは、5から40に8倍速の製造性能になるので、40杯の製造は1時間で終わる。

8倍速のかき氷機は、カンナ10000円に対して8倍の80000円かかったとし、減耗率は1/1000でカンナと同じ材質の鉄を用いたとすると、減耗費も1杯当たりで

80000×1/1000=80円に増える。

1杯当たりの製造原価は、

90+80+8000/40×8=90+80+25=195円でできることになる。300ー195=105円/1杯の剰余価値が生まれる。

5杯/1時間できる製造能力で、1日カンナ労働すれば

90×40+10×40+8000=12000円かかり、

300円で40杯=12000円で売って、8000円の労賃が得られる。それが、

40杯/1時間できる製造能力を得たことで、労賃8000円/日で労働者を雇用してかき氷機生産させると、

90×40×8+80×40×8+8000円=

28800+25600+8000=62400の原価で

40×8×300=96000円で売れるから、

96000ー62400=33600円の利益がでる。

検算は、

(300ー195)×40×8=33600 でOK

 

減耗費は、

10000円のカンナ製造は、1日で

10000/1000×5×8=400円

これが、

80000/1000×40×8=25600円に膨れ上がり、

 

原料費は、1日で

90×5×8で、3600円が

90×5×8×8=28800円に膨れ上がる。

 

25600+28800=54400円に相当する原料と生産手段の生産増から、カンナ時代の製造費、

減耗費10×40=400

原料費90×40=3600

 

を差し引くと、純増は、

減耗費25600ー400=25200円の増

原料費は、28800ー3600=25200円の増

合わせて50400円の純増になる。この原料と減耗費分の生産手段の生産増がかき氷の製造増によりもたらされる。

それで300×(320ー40)=84000が得られる。

96000ー12000=84000だから、検算はOK

 

収支差額を考えると、

カンナ労働をかき氷機労働に変えると、

原料生産部門に、+25200

生産手段生産部門に、+25200

計+50400円の他部門追加生産労働需要増により、

生産量は、40から40×8=320に280杯の増加となるので、280×300=84000円の売上増になる。

このうち、84000ー50400=33600は剰余価値となる。何故なら、かき氷生産増のうち50400は、原料増加と高度化した生産手段製造費分=減耗費増分で支払い経費が生じるからだ。

また、50400円の追加されたかき氷製造以外の労働時間増は、かき氷製造労働時間から弾きだすのだ。

本来なら40杯/8時間の製造能力の労働時間は、8倍速320杯を得るのには増加分で320-40=280杯分の労働を削減する。280/40=7×8時間=56000円、このうち50400円は、別労働に労働者として吸収される。

 

33600は、

33600=40×8×(300-195) 

即ち生産手段の高度化による労働生産性向上による生産増と更に製造原価減の効果である。これを消費者=労働者に還元しなかったことにより、労働者階級には生存持続権を維持したままとしての実質賃金の引き上げをせずに成果物を資本家が貨幣資本化したのだ。

また、消費材生産労働時間を、生産材生産労働に振り向け、そのことによる生産増効果を実現する為に原料生産にも振り向けることになる。

 

製造原価が195円×=62400でできるものを

300円×320=96000で売れることにより、

96000-62400=33600円の労賃支払い後の剰余価値を産む。

かき氷製造以外の部門の労働時間を50400時間増やすことで、かき氷生産を日産40→320杯に、その労賃込みの原価を300円→195円にすることができるが、

ということだが、この収入増は、原価が下がったのに、カンナ製造の原価を消費者に押し付けており、

これは、消費者からの所得移転である。

 

84000円のかき氷販売増を50400円の原価費用増で済ませたことで、消費材製造部門に33600円の所得を資本家にもたらしたのだ。

その所得は、195円で300円で売れる商品を作れるようになった、資本家の勝利である。

資本主義でなければ、50400円の費用増分が回収できれば良いのだが。即ち195円での販売が可能だったのを消費者=労働者所得に還元することで、105円を他の消費材消費に向かわせることができるわけだから、全ての労働者の生活向上に向かわせることができるのだが。そのモラルの前に、他人より自分の幸福を求める普通の人間が多ければ、より正確には、他人から所得を移転させても自らが儲かりたい人々の群れであるならば、神の手により、所得は偏在していくのだ。

封建時代=農本主義社会には、単純再生産と農業資本主義による支配階級維持の黄昏の中世時代を維持する為の、宗教のイデオロギー統制は必要悪であった。

資本主義化は、この理由により、消費材生産の全てのジャンルに、また、生産材生産の全てのジャンルに、原料生産の全てのジャンルに拡大し、資本家の所得を拡大する。

拝金主義と宗教イデオロギーの摩擦が起きるのだ。しかし、経済システムが資本主義であれば、キリスト教は邪魔になるが、異教徒には金利を取ることを許すユダヤ教が金融業を発展させる。

過剰生産になると、最早資本主義生産を拡大再生産できなくなる。この段階が、金融資本主義への変質の時代であり、ユダヤの台頭を余儀なくする。

金融資本主義の時代をユダヤイデオロギーが支配し、反ユダヤの思想が対抗台頭するのだ。

 

まだ組み立てが危ういが、

結論は、

過去労働で生産手段=道具を生産するのだが、その道具の性能がx倍になれば、当然にその道具使用現労働が1/xになる。

その為、現労働時間がその分減って短時間での生産が可能になるにもかかわらず、市場調達した契約労働時間を働かせることで、無償の労働時間が発生する。

この労働時間分は、原料増と道具の減耗増を伴うので、消費材生産労働が減り、その労働分が、原料と生産材生産労働に移行するだけである。しかしながら、消費材生産性向上による原価減分を、労働者所得から収奪できるので、労働者の総所得から資本家に所得移転を生じさせる。それは、生産性向上前の価格で労働者は買い続けることになる。

 

この剰余価値獲得を目指して、市場から労働力商品として労働時間調達する仕組みが資本主義生産システムである。

労働者階級は、自らの再生産費を回収でき、資本家は投下資本以上の剰余価値生産物を得る、ウィンウィンの生産システムとなる。しかし、労働者階級は、いつまでも最低生活を維持することになるが。

 

資本主義生産システムには、道具、即ち生産手段、減耗固定資産、原前払い、との結合労働による現労働時間の短縮が得られなければならない仕組みなので、生産手段が道具との結合労働である事が前提条件であるり、また労働力を労働市場から時間で購入できる事も必要条件であることがわかる。

 また、結果は格差となる。

資本家と労働者の格差は広がる一方で、ユダヤ思想による金融資本主義時代をやがて迎えることになるのだ。