資本論の考察-4

GーW (pm+A+m)ーW'・(pm2+A2+m2)ーG'

を考えてみよう。

前のWは生産資本段階、WーW'  のW'は商品資本にm分の価値増加が内在しているもの。

この商品資本は、市場で次期生産資本との交換をする為に、W'ーW'  即ち商品資本、生産資本交換を必要とする。それは生産資本でのW'ーW''増殖を継続拡大する為に。

Gは出来るだけ捨象して考えてみる。Gが本質ではなく労働が本質だから。Gも自分の意思はないし移動もしない。そうさせるのは労働の介在であるAとその機能分離、階級形成して代表意思を持つ資本家と呼ばれる階級の力による。

 

商品資本、W'  が、そのままG'に変態すれば楽な話だが、マルクスのように飛躍が大変だ、と文学的に表現するのはらしく無い。

生産資本が拡大すると、半端ない量の商品がミクロ的にはできるから、これを資本増殖の為に次期生産資本に変えるには、市場で不特定の需要者と交換する、また市場が既存の市場の外の市場をも対象とする作業を強制される。

輸送距離も伸びる、場合により国外販売へも拡大する。販売は製造より厳しく困難となる。

理由は、後ほどマクロ表現で説明するが、剰余価値生産することで、この価値を需要するはずの生産資本雇用労働者と流通資本雇用労働者の賃金では、価値分の商品購買力が不足することで、その価値を維持して生産資本に還元するには、資本家が消費するか、経済圏外の国内自給自足者や国外の需要者との間での交換が行われる必要がある、新たな市場で売りさばかなくてはならない、ということである。

 

商品はそれ自体では意思を持たないし、需要者への移動すらできないから、生産資本が自ら流通資本機能を果たすか、流通資本にかかる経費分を控除して流通資本に委ねるか、だが、価値を割り引いて流通資本に委ねる方が良いことは明らかだ。

G'δ▲の貨幣資本で流通資本に売却して、その貨幣資本で即生産資本に転換すれば剰余価値生産が継続できる。

 

W'ーG' 、この為の必要経費は、剰余価値額以内で行い得るまでしか生産資本の生産は維持できないのだ。

しかも生産資本が、この間の商品・流通資本結合をやろうとすると、その間生産操業が停止する。

だから、剰余価値額から、かかる商品・流通資本結合によるG'の実現の為に要する費用平均額を差し引いた減額剰余価値をG'δ▼のδ▼<'  の形で流通資本からGを受け取り、生産資本に再投資するのだ。

この場合、流通資本は商品を預かる代わりに手形や借用書でもよく、信用流通さえすれば良い。商品貨幣の金は必要はない。ただし、信用貨幣はローカル貨幣であり、裏付けが信用でしかない為、国外での販売の代償は金であることが好ましいが、貿易に信用が継続すれば、国債などの紙切れでも問題なくなってはいくが、恐慌時に不良債権化する覚悟が必要である。金で交換すれば債権債務の発生はない。

 

また、流通資本は商品を預かっているわけで、いざとなれば商品資本の所有権を行使して取り戻せば済む話でもあるし、市場での換金=商品資本→貨幣資本への蛹としての担保力はあるのだ。

 

流通資本は、先に生産資本に減額したG'を払い、市場で価値分=G'を回収することで、商人の場合はA、流通資本の場合はA+mを回収するから、剰余価値が元は生産資本の剰余価値なのだが、流通資本から得られるように移行することで資本増殖ができる。

 

資本主義の規模の問題で、バカならぬ量の商品生産は、バカならぬ量の流通資本を必要とすることになり、無視できない。

しかしながら、このことはマクロ的には、流通資本内のA部分については、内需となり、外需依存を減らす効果となる。

高度成長期の日本や、昨今の中国は、初期の内需が生産労働者しかない為に、内需が弱く輸出主導で外需に頼った商品、生産資本転換しか方法がなかったが、いずれ成熟して国内への分配を流通資本の成長で外需依存から脱却できるようになる。

外需依存は、発展途上国の証でもある。

 

因みに日本は、生産資本、これは財、サービスを合わせて4とすると流通資本は約1、GDPの20%もあるが、これが内需として外需依存を緩和してくれることになる。

 

WーW'が剰余価値生産できるので、生産資本の稼働で、商品資本が増加してできる、WーW'  が最重要である為、商品資本に変態したW' を生産資本W'に、スタート段階に戻す状態を図式化してみる。

1.     W(pm1+A1+m1)ーW'・(pm2+A 2+m2)

2.    ーG'に変態する前に

        G'-(pm2+A2+m2)ーW'(pm1'+A1'+m')  へ。

 

ここで言えることは、生産資本から商品資本に変態する過程で生ずる剰余価値は、全てが労働価値説で言うところの雇用労働者のもの、では無いと言うことでもある。

もし、そうしたければ生産資本雇用労働者は、追加労働で商品販売までやって、追加生産資本に戻すところまでやらねばならないが、それでは分業効果が得られない。その間操業停止となるからである。

 

そう、生産資本における剰余価値は、全てが生産労働者に帰属するわけではなく、流通経費分を減額された額が帰属することになる。