経済のポイント-5

・市場での売価は、

生産労働所得の総和、即ち原材料生産労働所得に加工労働生産所得に固定資産減耗分生産労働所得(厳密には過去固定資産労働所得)

これに運輸、商業サービス労働所得との合計額であろう。これを貨幣により交換するもの。

 

勿論、希少性など需給関係により特殊利得(需給バランスが取れている場合以外の、供給<需要、の場合による販売価格による利益もあるが、逆は過剰生産による値崩れで先の存続がなくなる)があるが、供給<需要、の場合は市場で供給が新規参入することで、需給バランスは均衡を超えた供給過剰になるが、徐々に供給が淘汰され、均衡に戻る。こうして経営的には希少性は重要だが、マクロ経済学的には、均衡の時点を問題にすれば良いことになる。

 

競争のある中では、製造原価を超える利得は、漸減し、紆余曲折の振幅振動しながら均衡する。

とすれば、生産活動を動機付ける利得を資本家が得続けるには、労働時間、労働日数を雇用単位とする労働力商品をフル活用し、タダ働き時間を織込むことであり、機械生産の補助労働として生産物の単位時間あたりの生産量を拡大し、即ち労働生産性を上げて、固定費としての労働力商品との賃金交換を維持しながら生産物量を増大させること、いいかえれば同じ生産量を生産継続するのに、より少ない総雇用賃金による機械化等で実現すると、(賃金+固定資産減耗費)<社会的平均的製造労働原価、となることにより、無理なく利益分を資本の側で労働所得分の一部を移転できるのだ。

ある意味、高度な生産設備をフル回転しながら奴隷的低賃金労働により生産することが、最も資本家への所得移転を増大する。勿論、生産設備の減耗分補充生産費用は人件費より多いのだが。

こうして生産力を拡大して労働所得を大きく得たのが敗戦後の日本とドイツ、そして現代では中国である。中国の労働所得の大部分は共産党幹部の支配する公司と資本提供する外資に吸い上げられ、大手企業は国有である為、幹部と国税に資金が配分され、この資金で一帯一路の国策や軍事支出を支え、国外にODA的貸付を行い過剰生産設備稼働率を上げ、現地に資材と失業者を送り込むことで生産需要を維持する現在の中国の姿がある。

これは2周回遅れの帝国主義そのものである。

中国の労働者賃金は、元々農業内過剰人口の放出された失業者であり元々所得がなかったので、奴隷並みの賃金での雇用が成立していたのだ。

グローバル経済化した冷戦後の社会で、世界の需要を一手に引き受ける近代的奴隷工場が国外資本で維持された世界経済の奴隷となったが、中国共産党が利権を離さず、独立した帝国主義化を進めた為、アメリカが介入しだした。

この中国成長モデルがいつ止まるのかも後に検討してみよう。

 

年度始めの生産組成で、機械化設備を擁した工場などの固定資産を最低数の雇用で市場の需要分を大量に生産する。

ただし、機械等の減耗分を自社か他社でかを問わずに生産したものを購入しなければならず、(=次期生産を同水準で行う為に)、このコストの額は、これによって社会的平均的に起用する労働時間を超えたタダ働き時間との比較で、より低い額となるのは当然のことだが、今期に上げた利潤の中から労賃と同様に拠出するのであるが、更なる利潤の残で資本家の自家消費増とともに、次期生産組成で更に労働者数を減らして高度機械に置き換える投資をも行うのだ。

 

社会全体で見れば、減らされた雇用分は、置き換える固定資産減耗分の生産労働にシフトする。

同様に固定資産生産労働でも、機械化を進めることで労働者の雇用総数は、常に減らされる圧力がかかる。生産が高度化するにつれ、総雇用労働時間が減ることで、失業者が出るので、一向に賃金は上がらない。当然のこととして、労働者階級の需給バランスを供給過剰にするからで、仮に労賃を上げても人口増を誘導して供給過剰になるのだが。

 

本来なら労働時間が短縮されるか、タダ働き時間を減らすことで、労働所得が上がり豊かさを実感できることになるのだが。