経済を考える6-4

ケネーの範式で思うことは、見事な封建主義循環システムを表現していると同時に、この時代の不生産階級である商工業者の位置が、支配階級の為の服の仕立てや豪奢な家具や美術品、庭師や建築物作り、装飾品作り等宮廷でのお抱えの召使いとしての機能と、もう一方では鍛冶屋や運送資材、土木工事等、ある意味生産階級の外注下請として農本社会システムにあっては余剰生産物を産出しない付属物でしかない階級でしかなく、不生産階級を除く2階級に分割して吸収包含する範式案も範式作成過程であったとしてもおかしくはないと考える。

すると租税収入を得て消費するだけの支配階級と、経済活動を行い不生産階級の生産階級の為の生産部分を内包する生産階級代表としての借地農経営者を通じた納税、という構図も描けなくもない。

範式で描かれる主要部分は拡大された生産階級内部の経済活動が主でその中の市場が、自由市場ではなく納税確保の為の管理貨幣を商人に強制する社会であることも明らかにしてしまい、支配階級の存在意義めぐり、ケネーの立場上、国体変革へと話がそれるのを恐れたのでは?といううがった見方もできなくもない。ここではこの程度に止める。

不生産階級の分離を好意的に見るなら、農家の副業、農業ができなくなった農民、農閑期の内職、など生産階級の内的作業が内職が合理的な小さい規模だったはずだが、それでは専門化や需要の増加により内包しきれなくなって、下請として分業化した、とか

また、一歩前に出て、自営化して分離独立専門化した商工職人が農業生産地から離れて支配階級のお抱え職人などと同居して都市を形成した、または、お抱え召使いの専業技能を生産階級用に副業的に広げた、なども考えられるが、農業の生産性向上に農機具や機械などの道具が決め手だったことで、鍛冶屋など小規模な製鉄加工専業化の需要もあったはずだ。宮大工の仕事も金属加工品や木材の集積加工所も必要だが、生産階級の農地拡大に必要な開墾や領土拡大戦争が頻発していて製鉄機能も求められたはずで農家の副業の域を超えて専業化した階級形成がなされた、と考えるのも自然ではないか。

規模が職人の水準で、仕事の受注はローカルな支配階級と生産階級からのものでしかなく、生産階級並みの安定した需要がなく、経済的には実質2階級での経過的な位置にあった、と考えられなくもない。

しかしながら、総じて言えることは、支配階級の需要増加と生産階級の需要増加が求められたということである。

不生産階級が納税システムに関わらないなら、余剰生産物はなく、下請の機能分離でしかない。

ならば、不生産階級のまま存在するのではなく、第2生産階級になる前の準備的段階、と考えられる。不生産階級が第2生産階級に移行することが資本主義化を意味し、経営は借地農経営者から転じた資本家により経営された。利潤を生み、不生産階級が生産階級人口を超えると、この階級区分は対象とする産業別区分でしかなくなり、生産階級として一本化される。資本主義国家の誕生である。

国家運営は資本主義経済構造の規制を受けることになる。国体は変わるのだ。

しかし、この為には解決しなければ納得できないことがある。不生産階級はどうして、何により新生産階級に昇格できる利潤を得られたのか、農機具や鍋釜、大八車、一方で支配階級の為の贅沢品や奢侈品や芸術美術品作りや貴金属加工の需要が高まったからなのか、需要が生産体制を生む、不生産階級の成長を導く需要が次回のテーマだ。6-5に続く。