資本論の考察-7

再度生産資本循環による拡大再生産の範式の精度を上げて考察を進めよう。

 

W(pm+A +m)ーW'*(pm2+A2+m2)ーW'(pm'+A'+m')

なる生産資本循環が本質である。

生産資本→商品・流通資本→拡大生産資本 である。

 

ここに、貨幣Gは捨象できる。この循環を円滑に進めるための信用、の状態で構わない程度の存在である。

貨幣と資本は別であり、実体経済においてもっとも重要な資本は生産資本であるpmとAであり、

過去労働の結晶化された原料や燃料や工場やオフィス、機械等の生産手段と、労働力商品、となる実体経済物である。

拡大再生産は、生産資本の拡大をもたらさなければならないが、マルクスが分析不十分だった、商品・流通資本、以降の流れを考察してみよう。

その為に捨象していたGに登場願いながら。

 

まず流通資本に頼らずに生産資本自らが流通資本として機能するとする。

W'商品とは、生産資本が消えて

商品*流通資本形態として登場している。商品資本としてW'が存在しているが、循環しないで溜まった商品在庫として存在していて、流通資本と結合しなければならないが、その流通資本分は、W'の'以内である必要がある。' とは剰余価値部分である。

仮に生産資本の剰余価値を全て流通資本投下に要するとすれば、確かにW'ーG'の等価交換は可能だが、単純再生産となる。働いた分が補充される。

資本主義の動機は、m増殖である。

したがって、[mー(pm2+A2+m2)] > 0 であれば、この販売工程を含む生産資本にm2の形で剰余価値が発生するのである。生産資本部分の取り分のmはゼロでもm2の形で剰余価値は得られ、次期生産資本投下は拡大できる。m2の分は、拡大再生産投下の根拠ではあるが、資本家部分の消費投資により拡大する。

1. 蓄蔵すれば、単純再生産になる。

2. m2保持者が資本家自家消費を増やせば、生活格差となる。

3. m2保持者が生産資本、流通資本投下すれば拡大再  

    生産となる。

 

資本主義初期は、商品生産量増加即ち、商品資本増として現れるが、それは商人活動の活発化を要請するので流通規模拡大が必要であり流通資本増を求める。流通資本とは、pm2とA2であり、Aの生産性を上げるpm2投下によりA2を置き換えることで、m2が得られるのだ。

 

結果として、上記の場合はm2だけで剰余価値を実現するが、生産資本は使用価値の単品生産となるが、流通資本が単品生産集合の同一運輸販売を可能にすることで、流通資本依存分がより少ない形で、早い話が流通資本投下を最小にして依存し、mの受け取りを減らして、生産資本の消失を埋める再生産として得ることがより有利な判断となる。

流通資本との機能分離が有効である。

として分離すると、生産資本のmの分配は、

m-(pm2+A2+m2)に縮小して、m2が流通資本の剰余価値に移行し、トータルでの剰余価値は変わらないのである。

生産資本の増加は、単に再生産資金を割引いて受け取り、微量の再生産を可能にするだけでなく、m2による生産増要請があり、成長が保証される点で、大きくは流通資本の傘下に組み入れられる構造となる。しかし、より大きな問題は、Gの機能が信用貨幣として、負債であれば代行できる、変態間の機能でしかないので、まずは生産資本が、信用において貨幣を使用しないで生産資本を担保として生産活動する規模となり、商品・流通資本結合時も商品を担保とした信用仮りで生産資本に割引支払いをして活動でき、流通資本も流通資本を担保として信用仮りして、…信用が実体経済の規模で、生産資本も流通資本も包含して拡大することになる。

本来なら生産資本で生成する剰余価値は、金融資本の肥大化を生むことで、金利として剰余価値が回収されていくのである。

さりとて、生産資本、流通資本も剰余価値の一部は受け取りうるが、金融資本が生産資本、流通資本に変わって資本の頂点に立つことになる。

これが現代の資本主義、金融資本主義である。