資本主義を考える-6

・これまでの叙述をトータルするとどうか?

 

都市自営業者の平面的な均質的均衡経済社会は、それは自らの道具程度の生産手段により、自らの労働を生産手段とする生産物を分業という形で市場で自らの労働分との等価であたかも自らが全てを労働によって得たように、しかも分業による生産性を取り込んだ生産物同士を交換によって入手して消費するのだ。

 

しかし、本来なら労働時間短縮や労働強度の縮小を目的とすべき生産性の向上に伴い、特に生産手段が人力主体労働から機械力主体の機械操作労働に変化することで、大量生産が可能になり、自営業者は労働力という自らを時間売りする商品として資本と交換することで雇用労働者になり、賃金を維持して生存することになる。労働力の商品化が進行したのである。

 

賃金は生産量には比例せず一定したままとなる。

同時に同産業の自営業者を没落させ、一方で機械や原料生産の他産業労働にシフトするが、その需要には限界があり、蓄積資本に依存する言わばサービス労働者という生産業労働者に変わる部分が必ず発生する。自営業者から没落した労働者にあれば、生き残りの為のやむを得ない選択である。

 

サービス労働者の量は蓄積される資本の量に比例して増加する。

資本が資本主義活動=生産性向上の(機械)投資も自家消費もせず、将来不安に備えた死蔵貯蓄として銀行も運用先需要を満たせなくなると、デフレとなる。

経済のマクロ的縮小である。

デフレは単に貨幣現象ではない。

経済発展時に貨幣需要が生産力増加に追いつかない場合に金本位制が維持されることとは異なるのだ。管理貨幣時代のデフレは明らかに需要不足であり、解決の方法も、供給力縮小を一気に行うことか、ケインズ流に将来の債務と引き換えに需要を創出するかであるが、前者は労働力のみを商品とする労働者の失業と引き換えになるわけで、暴動や革命により資産保有者の所得に違法に群がる行為が横行する。その両方を中途半端にしたまま、高度成長期の所得に依存して若年労働者を低賃金にして人口を減らすままにしているのが現代日本である。

 

没落自営業者分の富を資本主義的生産を支配する資本家は得ることになり、これが原始的資本となり、この流れは加速拡大する。

 

資本家とそれ以外の賃金労働者、残った自営業者との経済格差は広がり、消費の主体自体が自営業者から資本家に移行する。

 

資本家は豪勢な自家消費か、投資という消費を、即ち消費の中身を規定するのだ。

資本間競争がある場合には、資本家も自家消費をほどほどにせざるを得ない。

自営業者は、消費材生産生産者から、生産財生産自営業者へ転身するか、資本家の自家消費の為のサービス労働者=実質召使い、となるか、資本家による資本主義生産の直接雇用労働者になるか、しかなく、生産財自営業者に転身しても、いずれは資本家と雇用労働者とサービス労働者に分化するので、また資本家間競争により資本は集中するので、競争に敗れた資本家も自営業者を経て労働者に没落する。

 

・こうして、選挙による民主主義的議会制度による国家運営のレベルにあっても、生産労働者とサービス労働者による労働者国家が資本階級支配のもとに存在する社会が成長する。

資本支配とは、資本と労働時間を販売交換し、生産手段の操作労働と、資本の要請に基づく生産、サービス、召使い労働により失業を免れるまとめて労働者階級による国家運営がなされる。

 

こうして多数のサービス労働者が登場して、所得を集中できる優れた?資本家の為の投資や消費を生存賃金で支える大量の労働者階級が生まれることになる。

資本家が資本増殖競争に励むなら、生産性向上の部門即ち投資対象の事業即ち機械や生産財生産雇用に振り向けられて失業者が減る。また、このことで常に過剰生産と販売競争が行われ、資本家が選別され一方で没落する。

しかも、この時代は、資本家間の生き残り競争でもあるので自家消費は少ない。サービス労働者は、販売競争で雇用され、ある意味健全で召使い労働は少ない。

閉鎖経済で競争がなくなるなら、王となった資本家の豪奢な自家消費の為の消費材生産や召使い等のサービス労働に、生活の糧を求めて雇用してもらうか、資本家ニーズの消費材生産労働が発生する。

 

企業内に貯蓄して投資しなければ、銀行預金となり銀行に貸せない預金が増加してだぶつく。銀行は淘汰される。何も投資しないで現金保管していることが許される競争の少ない状況にあって、投資資金を集めて金利を稼ぐ条件と存在価値がないのである。

 

投資不足とは発展性喪失と同義である。

グローバリズムで、海外に下請け工場を作り、投資資金を海外に求めれば、海外の下請け工場に雇用が発生して見返りのGNPが稼げるが、これには国内の大量の労働者の雇用が犠牲になるので、稼いだ所得が税収として国民に還元されなければ税収は不足し、国家としてはGDPを犠牲にすることになる。

国民は豊かになるどころか、税収不足と引き換えに増税を求められることになる。

ここに自国民第一主義、高給の仕事を!我々の労賃を跳ねて、それを国外の低賃金労働者雇用に向けて収益を資本家が得るシステムに=アンチグローバリズム要求が政治的に出るか出ないかは、労働者階級の自覚性と民主主義の普及度の問題である。

イギリス、アメリカ、ヨーロッパの一部、にうねりとなってアンチグローバリズムが潮流となる根拠がここにはある。