経済ノート-3

1. 農本社会から資本主義社会への変化は経済システムの変化である。農業生産を中心とした社会の生産基盤は土地即ち農地、即ち領土であり既得権益を保障する国家である。対応する統治システムは専制暴力であろうと法治国家であろうとこの経済システムの維持を目的とする国体を作り維持するものだ。

政権が王制か軍事政権か、はたまた社会主義政権かを問わない。

 

2. 要は余剰生産物を、農民の所得配分増か、農業資本=固定資産減耗配分増か、支配階級の税収増にするか、の選択である。農民の所得配分増なら貯蓄による流通循環からの離脱なければ不生産階級生産物の生産増=農民階級の消費増をもたらす。

固定資産形成でも同じである。支配階級の税収増も同じである。異なるのは固定資産形成増のみは次期生産農産物増をもたらすことである。

また、生産階級、支配階級の所得配分のうちの使途が、金融機関を通じて不生産階級への投資や融資、社会資本の整備などの固定資産形成に使われれば、生産性向上をもたらすのでゼロではない。

 

3. 不生産階級の人員増は生産階級の余剰生産物増によってもたらされ、不生産階級の総生産のうちの余剰生産物増による固定資産形成増がさらなる余剰生産物増をもたらす。この循環が資本主義を育て、土地に限定された資本が、人の技術水準向上や投資拠点の選定に判断の重点が移行する。生産組成の方針に依存することになる。

 

4. 上記により、国家や領土の国民国家は、その統治システムの目的が制限されることから、国法体系が揺らぐ。グローバルに資本が異動できるようになると、国法とグローバルルールとの間に矛盾を生じさせる。資本のグローバル異動が国法に挑むことになる。国法の経済活動にかかわる部分は地方の政令や条例の位置にランクダウンさせることになるし、この操作を拒絶する国家は生産拠点の対象から除外される宿命を迎える。

憲法は、国際的な金融商業関係法については傘下とされる位置に。また、債権債務に問題が起きた場合、その解決は外交問題になるが、最終解決は軍事力となる。軍事同盟ならなおさらだ。

 

5. 資本のグローバリズムにより生産拠点の支配権確保は、中国の生産拠点化を進め、強気の投資で世界的生産過剰と先進諸国の生産力の低下による雇用問題が世界に蔓延した。

全世界同時不況となり、金融資本は投資先が見当たらなくなりつつある。

IT関係のリノベーションが顕著だが、これ以外に投資先がない。リーマンショックのように借り手を無理やり探す詐欺的商法しかなくなる。中国自体も債務問題が発生している。

 

6. こうした世界情勢は、投資先を探す国際生産拠点作りを求めるが必ず行き詰まる。国法にも影響するグローバリズム保護主義の台頭を免れない。

アンチグローバリズム保守主義が世界経済の潮流となるはずだしなるべきだ。

日本型の低成長受入、内需主導の単純再生産へのランディングが適切である。

無論、新たな輸出産業がリノベーションで勃興すれば別だが。

黄昏を時短で楽しむ社会、協同を旨とする社会、資本主義を卒業した社会主義社会が実現する。

そのキーは、教育や思想建設により安定して進行するであろう。

 

7. 生産拠点を自国に戻して、国内生産限定で生産調整する。内需循環だ。

既存の産業を生産調整し、外需があり秀でた生産物は輸出をFTA貿易協定で輸入を多少上回る程度で止める。

新たに輸出産業を研究開発する。

イノベーションを推進する。

政府投資は見合わせて小さい政府とする。

グローバリズムは推進せずに、アジア途上国とのブロック経済圏をめざす。

保護主義経済による内需中心の、単純再生産型の社会主義経済を確立する。市場経済であり、国家官僚統制の弱い、国の関わりは最低限、即ち国防、警察、徴税、裁判等にとどめ、社会保障は協同組合方式で運営する。

国債は長期国債に借り換え、買い手は金融機関でなく個人とする。新たな国債発行は止める、を年次計画で進める。など。

 

8. しかしこれは到達すべきランディングの姿でしかない。

少子化は、需要を超えた労働者の失業者化の防止策であり、高齢者の多い現在に拍車をかけて失業者が増えれば余剰人員の嵐だ。特に先進国には生産拠点投資が行われないから労働者余剰が増える傾向にある。

至る過程では既存の所得をめぐり就労競争が激化して、その対応は生産拠点国即ち発展途上国並みの賃金目指して収縮傾向が続き、少ない企業所得の分配では労働者に不利であり、格差社会とならざるを得ないが、高生産高所得の時代と異なり少ない所得をめぐる階級対立により、支配階級が容赦なく分配を高めることになる。資本即ち剰余価値を国外投資とする為に、配当は企業支配者の元に分配される。

格差社会ができるのだ。高度成長期は生産性向上でできた余剰人員は固定資産生産の仕事に回れたが、一巡するとその仕事も減り、受け皿はサービス労働者となった。高い生産性による所得に依存し、高い生産性作業に専念させる補助者である。その代表が主婦業であり、水商売であり、しかし生産性向上が止まると専業化は崩れる。

企業に集められた金融資本は国外投資に向かうのなら、多額の納税による社会資本としての福祉や社会保障費などに還元しなくてはならない。それより賃金として消費し内需を拡大し生産を誘導しなくてはならないものだ。なぜならこの収益は高い生産性を生み出す教育研究や長時間労働、分配を我慢した労働者により生み出されたものだから。それをしないで成果物を国外投資に向かわせる為に税収不足となり、徴税を正当化する世論操作により、支配が維持されている。

日本の税収不足は、企業の国外投資に向かう利益と同じ額だ。毎年40兆円が法人所得税の脱税額に相当する。消費税の本質は2つ、法人所得税の税率軽減の原資確保、輸出補助金として企業の内部留保を増やし応援すること、である。企業の原価にはらった消費税分は国外で販売する場合は預かり消費税がないので全額控除されるのであり、フランスのルノーへの輸出補助金付加価値税に変えてWTOの批判を免れる為に導入したのが起源なのだから。

資本のグローバル化は、生産拠点支配権を巡る他国

労働者の雇用と企業利潤追求に消えるのだ。それも国内で培った技術、その技術を生み出したインフラ、特に教育研究投資により得られたもので国民に所有権がある。これを支配権として国外に持ち出し利潤を独占する行為は、国民の力で戒めなければならないかも。要は国外投資捻出資金が税収不足として現れていて、これを消費者である非輸出企業と労働者に付け替える措置を行い、これが国民の認識ではなく合意を得つつある、ということだ。

本来、企業は投資には借入で行うものだが、国外投資するなら借入で行うべきだ。なら目をつぶろうではないか。

労賃分配金の収奪を原資として国外投資の資金にし、税収不足をきたして国民徴税に振り替えるのは企業活動に甘い。

家計の1600兆円の金融資産は、平均すれば1330万の預金がある、ということになるがそれは格差拡大での平均値にすぎない。消費が冷え込み消費生産が収縮するだけだ。固定資産財生産産業だけでなく消費財生産産業の生産力も削ぐのだ。

企業は10年間で400兆円の内部留保=資本を蓄積したのだ。

日本の労働者階級の文化水準が、政治経済社会の理解水準が問われる。外圧によってでしか変えられないのだろうか?

私には囚人的な屈辱に立ち向かう自信のない依存的な体質として映る。70年前に原爆落とされてボコボコにされないと基本的人権を得られなかった国民性は、高い知的技術的知能とは対照的な無権利、自立性のない哀れさを感じざるを得ない。

 

9. 私は、比例区共産党小選挙区立憲民主党を今回は投票することにしたが、彼らに政権担当能力はないと思う。全ては日本人気質に起因すると思うが。

長い権利意識の高揚の思想運動の先に、当面は保護貿易への暫時段階的移行をへてグローバリズムを克服し、中立平和宣言をして自衛力を整備再編し、自らの労働で自らと隣人を豊かにする先進国としての支配権を労働者階級が運営する社会を目指すべきで、それは自由市場経済によるべきで、国家や官僚による、統制を最小限にする自立社会であることが前提である。果たして日本の労働者階級は、自立社会を作れるであろうか?

ゴルバチョフは、訪日の際に、日本は唯一成功した社会主義国だと評した。

そして最後に崩壊する旧社会主義国かもしれない。私は冷戦時代にアメリカの植民地として成り上がった国家で、朝鮮ベトナム戦争成金で、キャッチアップを終え拝金主義むき出しでバブルを崩壊させ彷徨う国民であり、国際新秩序のルール作りに参加する自立性に疑問を持っている。