経済を考える11-2

では、蓄積された自国通貨建て国債に問題はないのだろうか?現在の日本なら自国通貨建て国債外国通貨建てにせざるを得ない国と比べて、何の心配もない。世界最大の債権国家でもあるし。


預貯金などの金融資産は多いが、競争力ある生産性ある国内民間活動が鈍くなり、潤沢にある固定資産を減耗以下しか再投資しないでいて、未来を棄てかかっている民間が問題だ。現在利益を最大にしているだけだ。民間が金融資産を外国に移して生産活動するくらいなら、法人税を下げずに、その穴埋めの消費税など入れずに、逆に法人税を上げれば国内の政府資金が潤沢になるから、国債発行する必要がなくなるか減る。国富の外国持ち出しにより、外国で生産性向上を得て、それを企業が再投資する構造だ。国内は生産即ち労働力投下を減らし=所得を減らして、国外生産物を安く輸入して消費するだけだが、その多くは高齢者の金融資産化された資金に依存することになる。現役労働者に所得が行き渡らないからだ。

国の生産力が衰えるから現役労働者に豊富な所得は生まれない。だから働かず親の庇護から抜けない子供も増える。低賃金仕事しかない構造で自立しにくい。でもこの環境で自立できてる子供はすごい!

 

ケネーの範式で表現するなら、剰余生産物はこれを国外融資しつつ生産資本も国外で組成、政府は銀行から借りて政府支出していて、税収不足になるのは当然だ。生産階級、不生産階級内部に未供出の内部資産がある為、政府財源が不足している、という状況なのだ。

 

日本の財務省は国が借金まみれになると、危機感を煽っていて、何とか税収を上げて収支のバランスを取りたがっている、という状況だが、財界の要望である国外融資活動資金の捻出と、国際的な流れである株主配当の為に法人税を下げるので、消費税に頼るわけだ。この間の消費税増税法人税減税で消えているわけで、福祉に回してるわけではない。

だが、生産組成を外国でやる構造なので国内生産活動は萎縮、しわ寄せは現役労働者にくる。

低賃金と長時間労働で国外生産コストを下げるからだ。文句あるなら、海外に生産拠点をより多く移すよ!が、殺し文句になる。

関税をなくして自由貿易にするなら、また、その方向で進むから、安いコストで需要が満たされるメリットは日本にもあるが、資本蓄積と生産組成を国外に持ち出される影響がより大きく、貧困化する。

企業は経常で収益得られるが、家計では高齢者の蓄積が消費の主力となる。しかしながら高齢者の消費は少ない。

で、日本に金は余っていて有効に投資されない構造になる。全体で余っているが、現役労働者にはきつい中身だ。だから、政府はここで、大型の国債発行して、赤字国債による消費を減らして、政府投資を推進することが必要なのだ。

例えば保育所、老人の介護施設、研究開発施設への巨大投資など、民間ではできない。

現役労働者の未来を約束し、給料以外の出費を公的部門で補うのだ。国債発行もインフレにならない間は継続できる。また、こうすることで企業や家計に余った資産を実質的に吐き出させることができるのだ。いずれにせよ全てのしわ寄せが現役世代に向かっているのを変えなくてはならない。選挙で選ばれた代表に、国債発行増による現役世代への実質給付を増やして、ロボット開発やITインフラ整備やシンクタンクや、そうした未来の生産性向上の固定資産や非固定資産投資を国が行い、将来の税収増とすることが大切だ。今のままだと官僚の天下り先への出資金支出に国債が化けている現状を打破できないでいるのだ。これは余裕ある今やらなければならない課題なのだ。また、多かれ少なかれ、グローバル化が進む先進国共通の課題なのだ。

 

尚、この政府投資はケインズ流のニューディール政策である。ダムや道路網を作ってその後の生産性を上げる、というものではない。そうできれば良いがもうハード面での社会インフラ済んでいるのだ。

だから無駄な投資に終わっても、条件よく働く場所が出来て、デフレが止まれば良いのだ。成果をことさら求めれば、民間がとっくにやっていたのかもしれないのだ。民間ベースでの収益性を求める必要もない。何ならピラミッド作りでもよく、大昔も同じ問題に悩んでいたはずだ。余剰資産を吐き出させて経常の回転を進めるのだ。一方で金余りで使わない、もう一方は働けど苦しい。節約するしかない。なら、金余りのところで死蔵している金融資産を吐き出させて経済を循環させて血栓を除去する、ということが肝要なのではないか。