経済を考える11-1

国債発行について

政府は国会の承認を得て、国債を発行する。

要は政府の負債だ。市中で販売して銀行が買う。

税収の範囲で歳出組めば、発行する理由はないのだが。

 

銀行は日銀への預け金である日銀当座預金を購入国債分を減額することで購入するわけだ。だから銀行の日銀預金と債権としての国債購入たの等価交換であり、インフレに発展する危険はない。実質では国債金利が銀行に収入として入り、政府は金利債務を負うが、マイナス金利に近ければ、その負担もかなり少ない。

 

政府は予算執行で、発行国債分で建設投資する場合は、請負業者への支払いは政府小切手で支払う。

政府小切手は流通できないので銀行に持ち込まれ、業者口座に預金される。この時点で業者の所得となる。国債発行が、民間業者の所得増となる。

 

政府は、一方で発行国債分の固定資産を持つことになる。仮にこれが高速道路で有料なら回収もできるし、また、公共財として普通の道路なら、運輸業の発展や自動車の普及を通じて企業所得を経て税収増をもたらすインフラ=国富となる。

 

また、政府小切手を業者から持ち込まれた銀行は、日銀に渡して、その額の日銀当座預金の増額で交換処理される。国債発行は、生産増=所得増を民間にもたらす為にGDPを押し上げる。政府は建設国債ならば、国富となる固定資産を保有できて、現在価値としての使用料収入や、将来の民間の生産性向上による税収増の素材を得ることができる。

 

一方で赤字国債として、政府直接消費や所得移転により福祉財源として発行する場合を考えると、国富は得られないが、民間に所得を発生させる、財やサービスとの交換が行われてGDPを向上させられる。

従って、これも需要不足の状況、即ちデフレ経済なら有効な経済政策となる。ましてや低金利ならなおさらだ。

これがゲインズ政策であるが、過大な国債発行はインフレ経済になる。すると金利は上がるから国債発行は困難になる。が、一方でインフレは供給不足の為、民間に投資の必然性が発生する。資金需要が旺盛になるわけだ。だから金利が上がるのだが、この場合消費が活発なので、所得も増える。だから所得税収入も増えるし、加熱するなら増税で冷やしながら税収を増やして国債を償還すれば良い。

 

一方で紙幣は日銀債務であり、銀行が業者等の要求で預金を現金に換えたい場合、日銀から現金を受け取り、銀行の日銀当座預金を減額する。ここでも等価交換だからインフレにはならない。ここでの発行通貨、すなわち紙幣は日銀の負債証書である。日銀は市中に通貨需要があるときには、現金を発行して負債を負うのだ。しかしながら日銀当座預金を減額していて、銀行の信用貨幣発行である預金を減らして流量を調節している。要は、紙幣の発行は、この管理通貨制度のルールをが守られている限りにおいて、単に交換の媒体でしかない。日銀の債務発行は引き換えの担保をとっているから。

借入を起こして民間の事業を行い雇用を発生させて生産物を得る活動を進めるかどうかにかかっているわけであり、需要不足はこの活動が萎縮する方向性を示しているわけで、このしわ寄せは日本を始め先進国の労働者階級に顕著であるが、途上国労働者の労働に分配されるわけだ。

続く