経済を考える9-11
◆水野和夫著「閉じていく帝国と逆説の21世紀経済」からいくつかのキーワードを記録する。
・1971年ニクソンショック、ドル金交換停止
・日本企業の純資産は、636兆円、2015年度末
・日本企業の最終利益は、42兆円、2015年度
・国民総所得に占める賃金の割合、1980年は46.5%
2015年は40.5%、返還すべきは187兆円、行き先
は?
・総人件費は、173兆円、で1998年度とほぼ同じ
▪️世界の年表キーワード
・アムステルダム銀行が1609年、世界初の預金受け
入れで、信用創造が可能に。
・ストックホルム銀行が、1661年、世界初の銀行券
(紙幣)を発行。
・1971年、ニクソンショック、ドル金交換停止
・1973年、ブレトン=ウッズ体制崩壊
・1983年、レーガノミックス、軍拡と富裕層減税
・1985年、プラザ合意、G5(日、米、西独、仏、英)
ドル安、他国通貨高の協調介入合意
・1987年、ルーブル合意、米は他国に利上回避要
請。だが。 西ドイツは利上げ実行。ブラ
ックマンデーによるアメリカ株暴落。
・1989年、ソ連崩壊、日本バブル絶頂から外国投資
ベルリンの壁も崩壊。統一ドイツへ。
・1992年、マーストリヒト条約でEU誕生
・1995年、グローバル化=国際資本の完全自由化
・1997年、アジア通貨危機、日欧の回避資本が米に
流れ込み、中国に投資され、昇り竜に!
・1999年、ユーロによる通貨統合
・2008年、リーマンショックで世界大混乱に
中国は大規模内需拡大策でしのいだが。
・2014年、中国、一帯一路構想ぶち上げ
・2015年、チャイナショックで株価暴落バブル弾け
AIIB設立、南シナ海に進出。ロシア、ベ
ラルーシ、カザフスタンでEEU発足
アメリカによるドイツ銀行攻撃開始
金(きん)の裏付けないドルの変動で、対外貿易は極度に不安定に。金の裏付けなく、ドルは基準通貨の地位を保ったが、2015年で米GDPは世界の1/4で、世界の外貨準備の63%を占めた。
ドル需要は、農産物決済、資源(特に石油)決済に使われている。石油を、農産物を輸入する国は、ドル準備が必要になる。中国も石油輸入国だ。
ドイツはユーロでアメリカ支配からヨーロッパ圏の国を巻き込んで距離を置き始めた。ギリシャ、イタリア、ポルトガル、スペインが債務国転落、イギリスの離脱と問題も内包。ドイツはグローバル経済のユーロ内で無関税で(輸出)でき、輸出急増できたし、中国にも車を輸出して、貿易依存度が日本の倍以上だ。国外消費でGDP成長しているから、外国景気の影響を強く受ける体質で中国と類似。だが、実体経済で金融経済でないから健全ではある。
中国は、2015年チャイナショックで株が半落、生産過剰で破綻の先延ばし状態。AIIBアジアインフラ投資銀行設立して、一帯一路投資を打ち出し、需要拡大を狙う、しかし資金がないのでこれで集めて過剰生産力の稼働率をあげようとしている。
鉄鋼、石炭、セメント、アルミ、ガラスで過剰著しく、鉄鋼は世界の半分を生産してるが、稼働率は6割。投資過多。投資がGDPの半分以上を占める歪んだ経済だが、実体経済。日本やドイツを牽制するには、中国に世界の工場を任せる、がアメリカの戦略だろう。中国の崩壊のパターンはリーマンショックと異なり、不動産バブルの崩壊になるので日本と同じ。とすると、あと5から10年後に崩壊がくると予測されている。一帯一路の巨大投資は無理との評価も多い。
2010年の段階で、50年前の日本のGDP水準に達したが、その頃の日本は過剰生産ではなく、その後時間をかけて中間層が厚く形成された後にバブル、中国は、その前に格差社会のまま、バブル崩壊へ、意味するところは悲惨だ。
中国の調べでも中国の債務残高は26兆ドル、日本円換算でほぼ3000兆円、そのうち企業債務が2000兆円もありアメリカ企業の倍弱、設備バブルの崩壊も待ってるわけだ。
◆資金循環表2016年 日本国
ちなみに、
負債(資金調達) 資産(資金運用) 差額
・家計 391 1800 1409
・法人 1528 1101 ▲427
・政府 1428 558 ▲870
・海外 644 999 355
ただし、固定資産即ち非金融資産の記述はないので、別途資産負債の実態がある。
だが、これでデフレで増税したし、更にしようとする意味はない。金融資産負債差額とは別に、法人は非金融資産があり、636兆円の純資産があるから純資産保有していて赤字ではない。この数字だと、1063兆円の非金融資産=固定資産があることになる。
もちろん政府にも非金融資産は、連結で500兆円強ある。国有地、橋や道路や空港、港湾、浄水場などのインフラは売れないとの主張もあるが、IMFにより、債務国はアメリカを除き、担保に取られて民営化後売却されるのが普通で、その後は使用料が国民に付加されるパターンは債務破綻国家の普通の扱われ方であり、差し引くと200〜300兆円程度の政府セクターの負債超過でしかない。政府運営としては確かに恥ずかしい成績だが、企業と家計のサポートで余りあり、増税より経費減や効率化が民間並みにGDP比例で求められるべきで、財務省によるマスコミ統制での増税誘導に有権者は洗脳されたままである。
資金が余って借り手がないのだから、もともと国民へのサービス部門でしかないのだから、ここで赤字でもサービス過剰の面もあるわけで、国民にとっては必ずしも悪くはない。税収をあげて結果として景気後退させて税収の伸びが落ちているのもお粗末。
海外は、外国に355兆円貸してるということ、世界最大の純債権国家である。
家計が1800になってるのは、政府が国債発行するから、金融資産化してどんどん増えてる。純貸し出しで1400兆円もある。金余りで将来所得を国債投入し、需要がないからそのまま個人と企業の金融資産増にスライドするだけだ。
実感ないだろうが、格差、世代格差もあるが、はっきり金余りだ。日本はドイツと並び将来投資がないのだ。しかしドイツは、ユーロ内、中国への輸出依存度が高く、世界景気の影響を受けやすい。
◆今後のテーマ、10シリーズの課題は、
民主主義国家か、国境なき資本主義かの選択に
近代に周回遅れで突入した中国の位置
新中世への回帰、軟着陸は可能か