経済を考える9-4

グローバル経済を考えてみる。

 

結局のところ、先進国には剰余価値が余って、国内投資が最早効率的にできなくなっている。合理化できる労働力に変わるもの、がITの発展ののちに見えないからだ。多分ないだろう。

日本は国内市場が飽和していて、需要不足、生産力過多なのだ。不効率なセクターを外注するだけになっているかも。

デフレ経済では、その能力の故に世界の先頭を走っている。

 

労働を機械化で置き換え、労賃の節約分が剰余価値だとこの間の検討でわかった。その剰余価値は、機械やエネルギーの生産需要に投資され、節約された労働がこの生産部門に移行できるから、資本主義が国家の中で発展性をもち、システムの優位性が維持されてきた。

これが国内投資に向かわないとなると、国内労働者は削られ損になる。しかし、世界全体としては雇用が広がり、資本主義生産が拡大再生産されるから、原前払いも他国で蓄積されるだけの話だ。それを国内に戻して活用されれば良いが、普通は他国で再投資されて競争力をつける。

 

よく考えてみよう。機械化で剰余価値が生まれたのだ。機械化とは蓄積された剰余価値の具現化された資産であり国富でもある。これがなければ剰余価値を生むだけの生産力は得られなかったのだ。

この剰余価値を国外に移転すると、国内生産労働は拡大を停止しつつ、国外生産の方が高度な機械化装備で雇う人数も少なく単価も安いからこの流れは止まらない。

拡大の停止というのは減耗分は補填することだ。しかし、日本における高度成長期は、数字を見てモデル化してみると、固定資産減耗80に対して投資が130兆円だったりしたから、資金需要が起きて、金利も高くて6とか8%だったりしたわけだ。主には国民の預貯金を部分担保に銀行が金利を得るために信用創造貸し、即ち貨幣を創造したわけだ。日本の金融業は、金融庁護送船団方式に支えられて高度成長に成長しただけだから、何のノウハウもない、

昨今は100兆円の減耗に対して80兆円の固定資産投資にとどまる状況で逆転している。そう、20兆円は差引で正味として国外投資に出ているわけだ。これが累積して世界最大の債権国になった。ということは、生産も停止ではなく、国内生産を減らしながら、国外生産をそれ以上に増やしているわけだ。

 

だから国内総生産は上がらずに国民総所得は上がり、それは資本家層即ち法人企業の法人所得となるが、国外投資に利用される為、国富が減り、多国籍企業としての海外固定資産が増えていて、トータルでは増えている、という構造が常態化している。三面等価理論が成立しなくなる構造だ。

 

国外で剰余価値生産はより多く生産されるから資本家は困らない。その国外剰余価値も国外での再投資により高度な機械化も、国外で進めた方が剰余価値を生むから、製造業は国外で拡大再生産循環に入り、国内労働者だけで見ると総所得は減り、単価が下がった輸入品が無関税で入るから、購入するだけの消費者となるが、所得減はそれを超える。

せいぜい、内需として残る三次産業、運輸や商業、金融セクターでの労働に縛られる。極論すれば、一二次産業の就業者減による国内所得減で、少し安い輸入品が入ることになる。トータルでは、先進国では仕事が減るから生活は苦しくなる。もし、途上国に移動した資金での労賃相場が、国内より高くなれば、国内に工場が戻ることになる。

いわゆる先進国病が日本の現状なのだ。

 

資金の移動で工場を国外に移動するなら、労働者も工場のある国に移動する。ただし、より貧しい国からの労働者移動であり、移民問題が発生する。

例えば日本で仕事ない場合なら、中国で1/3の給料を求めて労働移動すれば、所得が得られ、中国で消費すれば、何とか暮らせるのだ。だがその流れは主流にはならない。

だからグローバリズムは、先進国の高度な教育を必要とする水準での労働力再生産が国内では需要が少なくなるから、先進国の労働者階級にとっては不利益を被るが、発展途上国にとっては仕事が得られ、トータルでは労働者階級にとっても良いが、深刻なのは先進国の労働者階級だ。

 

日本の場合は、周回遅れでグローバル推進もやむを得ないとする論調が強い。だから、これから実質化して日本のトランプが現れる。

国内の雇用の情勢では、少子化団塊世代のリタイアによる生産人口減が激しく、移民を受け入れないで、雇用形態の階層別多様化、正規、アルバイトの間に非正規の、契約社員や派遣などの導入でしのげているが、平均的労賃は低下するから、少しの正規、過半数の非正規となる。

日本は労働者階級を高度労働者を限定的にしか雇わない、平均的な労働者には過酷なシステムとなる。

 

先進国は、すでに経験していて、結果は半数近い国民に反自由貿易、反移民が支持されているのはその結果である。グローバル的自由経済より、国による法治規制国家の復活、移民排斥となり、今がある。

しかし、社会主義国家群が崩壊した現在、もうこの流れは不可逆であり、壊れた経済基盤を政治権力では立て直せない。せいぜい浮浪者的移民を国内に呼び込み、中国的生産価格と労賃を機械化の上に乗せることなのだが、それは中国がその手の生産システムを放棄した場合に限られるか、中国生産物の価格牽制の為に導入されるから、グローバル化の納得を国民で再認識する単なる過程を経験すんことになるだろう。

 

自由貿易経済圏内に1つの政府を選挙で選ぶことしか解決の道はなく、国別に主権があると自由貿易にはならない。この矛盾を抱えながら、国際分業が進む。

日本の位置は、金融セクターは、アジアならシンガポールであり、上海、であり。

欧米ならイギリスシティであり、アメリカウォール街である。

このセクターは、W生産資本の組成の設計を司る戦略司令部なので、補充の意味のわからない日本には不向きで、アジアでも華僑系、米英はユダヤ系である。

日本は、第二次産業剰余価値を生み出す為の高度な機械の生産材生産のセクターが、優位。トヨタなどの凄さもあるが、国内での車需要もないし。いずれ生産業に優位性は限定される。

日本は、高度な生産材生産のセクターをドイツと取り合う関係になるだろう。二国とも製造技術者としては優秀だが、ドイツは、サービス残業によりかかるいい加減さがないぶん日本より上で、それは技術者ではなく生産管理部門の優位性でしかないが。

生産労働力は、アフリカ、中南米、アジアから供給される。

こうして世界グローバル資本主義が回転するが、アメリカは、ITと軍事力を併せ持つ為に圧倒的に優位に立っていて、グローバリズムはアメリカ支配圏の確立、の過程であり、アメリカの支配スタンダードの確立過程である。トランプ後に逆説に存在領域がないことを確認した後に加速しそうだ。

 

現代資本主義は、アメリカの崩壊によってしか変わることはない。アメリカのルールとしてのアメリカ製資本主義でしかないから。その後が、中世のような、不生産階級だらけで、それを宗教的に合理化する社会経済となるのか否か、はわからない。アメリカの後で権力と知力を握る人や組織が、国の形をとろうと取るまいと、アメリカを倒せるレベルが登場した時に新しい、資本主義に変わる仕組みが登場するかのうせいがある、ような気がする。

現代資本主義システムは、アメリカの資本主義システムルールでしかない、アメリカの後は、〇〇型資本主義システムかも知れないし、資本主義でないシステムが育つのかも知れない。