経済を考える4

伝統的な純粋互換モデルで描かれる世界が、現実の資本主義経済からあまりにもかけ離れている事は、ミンスキー(H.Minsky)によって次のように指摘されている。

標準的な経済理論、新古典派総合、の構成は、村の定期市で行われるような、物々交換を検討することから始まって、続いて生産と資本、 資産、貨幣、金融資産をモデルに追加していく。

新古典派総合の主流経済学で扱われる貨幣とは、交換当事者間の欲望の不一致に起因する、交換の行き詰まりを解決する手段であると考えられる。しかし、資本主義経済の不安定性や周期的に起きる恐慌を、内生的に説明するためには、単なる交換手段としての貨幣しか登場しない、村の定期市パラダイムを放棄して発達した信用制度を持つ現実の貨幣経済を前提とする分析枠組みすなわちウォールストリートパラダイムが必要とされる。

以上、貨幣経済と資本蓄積の理論、石倉雅男、より